九州大学 ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センターRobert T.Huang Entrepreneurship Center of Kyushu University

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履修モデル

 

●起業家に留まらず政策立案者、研究者あるいは大企業に勤務するものであってもアントレプレ ナーシップを持つ人材が求められています。技術者を例にしましょう。少し以前の資料となりま すが、「国際競争力強化に向けたわが国の産学官連携の推進」(日本経団連、2001 年 10 月)によれば、 新卒を含む産業技術人材に関する現状の問題点として、「大学レベルの基礎学力の不足」に次いで、 2 番目に「創造性欠如、問題設定能力の不足」、3 番目に「積極性、問題意識の欠如」が並び、同 率の 5 番目には、「新事業における即戦力人材の不足」と「リーダーシップのある技術マネジメ ント人材の不足」がランクされています。

●「起業すること」だけに注目した狭義のアントレプレナーシップを採用したとしても、起業する 時期は自らが決定でき、すなわち学生時代であっても、就職し退職まで勤めその後、起業を決意 したとしても起業することには変わりはありません。どのようなキャリア・デザインをするか、 あるいはその時々、どのようなキャリア・パスを選択するかは皆さん一人ひとりの自由な意思決 定に由るものであるはずです。大切なことは、どのような職業、職位に就いたとしても E.T.A. が 必要であることには変わりはありません。

●だから、QREC では、まずは身近な「技術者になりたい」、「政策立案をしたい」。「新規事業の 企画をしたい」など、学生の皆さんの当面のキャリアの希望に即して「履修モデル」を提示し、 より皆さんが求めるものと「QREC科目」で履修した方がよい科目の関係を提示するように試みています。

●履修者が希望する将来的なキャリア・パスが明確であるならば、QREC 修了証明書及び同【上級】 を取得することよりも、将来展望に沿った QREC 科目を履修することの方が大切だと考えます。

●そこで、履修者が希望する将来のキャリア・パスに従って必要と予想される推奨科目、つまり、履修モデルを参考までに次から示します。

●しかし、履修に際しては、これらの科目を履修する前提として「基礎」あるいは「応用」の科目を履修することが望ましいことは言うまでもありません。


[キャリア・パスのモデルと履修推奨科目]

段階   企業のR&D担当者 企業の新規事業担当者 大学の研究者(理系) 社会起業家 政策立案者
  テクノロジー・マーケティング・ゲーム
Technology Marketing Game(English)
アントレプレナーシップ・組織論応用
  ビジネスにおける競争優位性  
コーポレート・アントレプレナーシップ    
技術系アントレプレナーシップ    
  新興国アントレプレナーシップ        
地域政策プロジェクトデザイン        ○
ソーシャル・アントレプレナーシップ      ○

●すべてのキャリアに必要な知識があります。「デザイン思考」は、組織や市場を考える際に、どのような方法論で組織あるいは市場の実態を分析するのか、その方法論を学ぶ科目です。デザイン思考では、「現場」に行き、その現場を深く観察すること。プロトタイプを作り、試しながら改善していくプロセスを学ぶ、いわばQRECのアントレプレナーシップ教育のオペレーティングシステム(OS)の位置づけと考えて下さい。

● 「テクノロジー・マーケティング・ゲーム」または「Technology Marketing Game(English)」は、Webを用いた製品開発・市場投入のゲーム・シュミレーションを通じてマーケティングを学びます。すべての性能は最高にしてもその製品が売れるとは限りません。製品そのものや広告媒体を通じて顧客に告知し、それが販売という形でフィードバックされます。つまり、市場と対話することが求められます。大学における研究であっても、学会や学会誌などを通じて公表することが求められます。学会も一つの市場ですから。「テクノロジー・マーケティング・ゲーム」または「Technology Marketing Game(English)」は、製品を通じた市場との対話を体験的に学ぶ科目です。

● 「アントレプレナーシップ・組織論応用」は、組織の拡大に伴って、柔軟かつ漸次、組織運営を最適化するスキルに学ぶものです。大学、研究所あるいは社会的起業(ソーシャル・アントレプレナーシップ)においても、あらゆるところに組織は存在し、「組織」を効率的に運営することが求められます。いずれの組織においても、組織の潜在能力を最大限に引き出すことではじめて大きな成果を得ることができるのです。

 

学生の皆さんが考えているキャリアや進路に即して、どのような科目を履修した方が良いか。すべてに共有して履修すべき科目もありますが、キャリアによって履修するべき科目も異なります。学習相談を希望するときは、気軽に下記までお知らせください。
【お問い合わせ先】staff@qrec.kyushu-u.ac.jp