九州大学 ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センターRobert T.Huang Entrepreneurship Center of Kyushu University

QREC設立10周年記念イベント『アントレプレナーシップ教育が拓く未来』QREC設立10周年記念イベント『アントレプレナーシップ教育が拓く未来』

QREC設立10周年記念イベント『アントレプレナーシップ教育が拓く未来』

QREC設立から10年目を迎え、これまで関わって頂いた皆様への感謝と、取り組みの成果ならびにアントレプレナーシップ教育の重要性などを広くお伝えすることを目的に、QREC設立10周年記念イベントを開催する運びとなりました。COVID-19の影響で1年延期していましたが、この度、オンサイトとオンラインを併用する形でイベントを開催します。

本イベントでは、アントレプレナーシップ教育の普及拡大方法や、教育センターとしてのQRECの今後のあるべき姿について、皆様とともに考える機会にして参ります。また、過去10年間に渡って、QRECで学んだ学生/卒業生に、これまでの活動状況を発表してもらうなど、多くの方々にとって実りあるイベントに致したく存じます。

皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

高田先生

九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター

センター長 髙田 仁

開催概要


(クリックで拡大)

  1. 日 時
    2021年6月12日(土) 10:00 〜 17:00
  2. 場 所
    アクロス福岡 イベントホール(福岡市中央区天神1丁目1-1)
    ※申込時に、ご来場もしくはオンライン参加のいずれかを選択して頂けます。
  3. 参加申込
    ※受付は締切らせていただきました

    申込フォーム よりお申し込みください
  4. スケジュール
9:15 –
受付開始

10:00 – 10:30
開会挨拶
 石橋 達朗(九州大学総長)

来賓挨拶
 斉藤 卓也 氏 (文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 課長)
 高島 宗一郎 氏(福岡市長 ビデオメッセージ)
 ロバート・ファン 氏(SYNNEX Corporation創設者)

10:30 – 11:20
基調講演(1) (Zoom出演※同時通訳あり)

「The Past, Present, and Future of Entrepreneurship Education」
Prof. Bill Aulet
Managing Director, Martin Trust Center for MIT Entrepreneurship

11:20 – 11:40
基調講演(2) (ビデオメッセージ※同時通訳あり)
「Ecosystem for Innovation and entrepreneurship in Sweden – the case of Chalmers」
Dr. Mats Lundqvist
Professor in Entrepreneurship and Head of Division at the Division
of Entrepreneurship and Strategy, Chalmers University of Technology, Gothenburg, Sweden

11:45 – 12:00
QRECが目指す今後の10年の方向性(QRECセンター長 髙田仁)

12:00 – 13:30
休憩 & ポスター展示

13:30 – 14:15
在校生による事業構想のピッチ(10チーム程度、予定)

14:20 – 15:30
QREC卒業生の今

・株式会社日本風洞製作所 代表取締役社長 ローン・ジョシュア 氏
https://japanfudo.com/

・株式会社糸島ジビエ研究所 代表 西村 直人 氏
https://gibierlab.jp/

・メドメイン株式会社 代表取締役 飯塚 統 氏
https://medmain.com/

・UMITRON PTE. LTD . 共同創業者/マネジング・ダイレクター 山田 雅彦 氏
https://umitron.com/ja/index.html

・京都大学大学院農学研究科 地域環境科学専攻 土壌学研究室 北川 夏子 氏

15:30 – 16:00
休憩 & ネットワーキング

16:00 ‐ 17:00
パネルディスカッション

「アントレプレナーシップ教育が拓く未来」

– パネリスト –
山川 恭弘 氏(Babson College 准教授)
諸藤 周平 氏(REAPRAグループ CEO)
ローン・ジョシュア 氏(株式会社日本風洞製作所 代表取締役社長)

– ファシリテーター –
五十嵐 伸吾(QREC副センター長)

  1. 入場者数
    【 来 場 】100名(入場料無料)
    【オンライン】制限なし
  2. その他
    COVID-19の影響により、全面遠隔開催となる可能性があります。あらかじめご了承ください。
  3. お問い合わせ先
    九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター(QREC)
    QREC事務室
    TEL 092-802-6060
    Email info@qrec.kyushu-u.ac.jp

QREC 歴代センター長 CROSS TALK

QREC歴代センター長

e.lab 代表 谷川 徹
日本政策投資銀行、スタンフォード大学アジア太平洋研究センター客員研究員を経て2002年に九州大学へ。QREC創設者であり、初代センター長。2017年シンク&ドゥタンク e.labを創業。

筑紫女学園大学 教授 谷口 博文
大蔵省にて金融庁審議官、関東財務局長、国土交通省政策統括官等を経て、2009年から九州大学へ。2015年に第2代QRECセンター長に就任。2019年より筑紫女学園大学教授。

九州大学 教授/QRECセンター長 高田 仁
大手メーカー、九州大学大学院工学研究科での修士課程修了の後、技術移転機関(現東大TLO)取締役副社長兼COO等を経て現職。QRECの設立にも参画。2019年、第3代同センター長就任。

自分の人生は、自分で切り拓く。
QRECは、そのためのチャレンジを応援する場所。

谷川:私がQRECを設立した頃、アントレプレナーシップという言葉自体まだまだマイナーで、日本語に訳すと「起業家精神」なんて言葉になりがちでした。でもアントレプレナーシップって起業することだけじゃない。自分のやりたいことを選択し、それにチャレンジしていくことこそがアントレプレナーシップだし、それを応援する教育がアントレプレナーシップ教育なんですよね。

谷口:まさにその通りだと思います。設立から10年が経ち、世の中にも「イノベーション」や「アントレプレナー」という言葉や考え方が少しずつ浸透してきましたよね。自分で人生を切り拓いていく精神がなければ、これから先の社会はうまくいかないだろうという認識に、世の中がようやく立ったんだと私は感じています。

谷川:最近では政府も、スタートアップの促進を目指す方針を打ち出しています。それはそれで良いことなんだけれど、一方で、アントレプレナーシップ教育としてはリスクもある。それは、広義の意味でのアントレプレナーシップが疎かにされかねないところなんです。つまり、若者の意識を変える教育、マインドセットを変えてモチベーションを上げる教育…そういう土台の部分こそ重要なのに、そこの理解が進まないままスタートアップが推進され続けるとしたら、すごくリスキー。
そもそも教育の根本というのは、学生側に立って、学生本人が本当にやりたいと思う夢を実現するために応援することのはず。QRECを創ったときの精神もまさにそれだったのです。もちろん起業をめざしてもいいし、その応援もするけれど、それだけじゃない。学生の、広い意味でのやりたいことや夢の実現を応援する。そのための仕組みを創りたくてできたのが、QRECです。

高田:10年ほど前にアメリカの高校教師の団体が作った「Did you know」という動画を思い出しました。その中で印象的だったのが「現在需要のある職種は、10年前にはほとんど存在していませんでした」という言葉。教育ってつまり、「いま存在しない未来の職業に就くための準備をさせる、そのためにやらなくてはならないこと」なわけです。
じゃあその教育とはどうあるべきなのか。アメリカの高校教師たちはそれを真剣に考えているのに、日本はそこまで至っていないんですよね。この職に就くためにこういうスキルを身につけさせる…みたいなことばかりで、 どう新しいものを創り出していくかとか、どう変えていくかとか、そういうことに関しては教えられていない。そこが決定的な問題だと思います。

谷口:おもしろくてチャレンジングなことって、世の中たくさんあるんだけどなあ。そこにみんなが気づいて向かっていってもらうためにも、アントレプレナーシップ教育が重要な役割を果たすと思うんです。ただ、世の中がまだステレオタイプの価値観から完全に抜け出せないでいるいま、実は学生よりもチャレンジングなのは、教える側の先生自身かもしれない。これまでのやり方、これまでの自分を変えなきゃいけないんですから。そういう意味で、先生という人材を育てていくという役割もある気がしています。

谷川:たしかに、主体的に個人が動くということが世界では当たり前なことなのに、日本にはまだまだステレオタイプの価値観が蔓延しているような感じがしますよね。そこから抜け出して、人生にはいろんな選択肢があり、自分で人生を切り拓いていくことこそが幸せなんだということに気づけば、主体性も出てくるはずです。

歴代センター長対談

主役は、若者。学生のうちに広い世界に触れ、
さまざまな経験を積んでほしい。

高田:私が学生に対して声を大にして言いたいのは、まず「物事を決めつけすぎないで」ということ。世の中って、学生のみなさんが思っているよりずっと広いし多様だし、実はいろんな選択肢がある。だから、物事を決めつけすぎるのはもったいないと思うんです。
それからもうひとつ、これは私が学生と話をするときにもよく言うことですが、「やるかやらないか迷ったら、『やる』の一択しかない」。20代の間はこれを繰り返していくことで自分の向き不向きや好き嫌いが見えてくる。それに、こういう行動が取れるのって本当に20代までだと思うんです。30代を過ぎるとだんだん体力もついていかなくなるだろうし、家庭を持ったら家族もついていけなくなるし(笑)。だから20代のうちはぜひこのやり方で、変化や挑戦に対して主体的にどんどん踏み出していってもらいたいですね。

谷川:まさにその通りで、学生のみなさんには今のうちにできるだけいろんな経験にチャレンジしてほしいですね。特に学生というのは自由で制約のない身分なので、そこを大いに生かしてもらいたい。たとえば、他学部や他大学の、自分とは違うバックグラウンドをもつ学生と交流したり、インターンシップやアルバイトなどで社会人と接する機会をつくったり。できるだけ広い世界、異なった世界を見て、広く経験を積むことにチャレンジしてもらいたいのです。

谷口:広い世界にどんどん踏み出してもらって、その結果、異質なものがくっついて新しいものが生まれるような、そういうことが起きてほしいですよね。日本って「いまあるものを良くしたい」という改善志向はあるんですが、「全く違うものとくっつけたい」という気はなかなか無い。そこをブレイクスルーしてもらえるとうれしいです。世の中を変えていく主役は、あくまで若者ですから。
特に今は新型コロナウイルスの影響もあります。ある意味で、世の中がガラッと変わりましたよね。世の中がどんどん変わっていく中で、何も行動しないことはリスクだと自覚し、環境の変化にいち早く対応できる人や組織こそが、残る時代になってくると思う_のです。だからこそ、一人ひとりが、自分で動く。法律や制度が変わるのを待つのではなく、自ら動き、身近なところから動かしていく。それが世の中を本当に変えていくことになるんじゃないかと思います。

高田:そうなんですよね。そのためにはマインドセットを自ら変えることがやはり大事。学生のうちに何か強烈な経験や体験をして主体性や創造性を磨き、意識改革につなげてほしいですね。そういう場を提供し、応援するのが、私たちQRECの役目だと思っています。
今後は人材育成だけに留まらず、福岡という地域のステークホルダーと連携して、地域エコシステムをつくることもめざしていきたいと考えています。つまり、地域で新しい産業を生み、新しい雇用を生み出す。イノベーションって実は、ごく少数の、でも急速に成長するスタートアップから広がったりするんですよね。QRECも、その潜在的な可能性を秘めているんじゃないかな。

QREC歴代センター長対談

谷川:次の10年で、アントレプレナーシップ教育および地域のアントレプレナーシップ・エコシステム構築のモデルセンターとして、QRECがその文化を地域全体に広げ、地域全体をも変えるような、そんな発信拠点になることを私も期待しています。

高田:QRECがせっかく10年かけてやってきたんですから、一緒にやりたいという地域や大学とどんどんシェアしていきたいですね。調整コストが多少かかっても、それはいわば畑を耕すようなもの。そこからいろいろな芽が出るのならとても意味があるし、エコシステムとして地域で進めていくことで、最初は固い大地もいずれ豊かな土地になるんです。そういうロールモデルをこの地域で作り、盛り上げ、定着させていきたい。次の10年の目標ですね。

QREC歴代センター長対談

QREC卒業生 ローン・ジョシュアさん

ローン・ジョシュア

株式会社日本風洞製作所 代表取締役社長
ローン・ジョシュアさん

株式会社日本風洞製作所 東京営業所所長・営業部部長
宝蔵 蓮也さん

在学時の学部: 21世紀プログラム

学部の4年間で合計6回C&Cに採択されたローン・ジョシュアさん。G.C&Cにも3回採択され、台湾のTECO Green Tech Contestなどにも参加しました。
いまは、C&Cがきっかけとなって「株式会社日本風洞製作所」を立ち上げ、代表取締役社長として日々新しいことにチャレンジし続けています。

最初のC&C応募〆切前夜に、必死にメンバーをかき集めました(笑)

ローンさん:両親共に研究者だったので研究というものが小さい時からすごく身近な存在で、自分の興味関心ごとに素直に研究するという性質は小さい頃からあったんだと思います。中学生の時はロケットにハマってて、それから次第にロケットと同じ最先端技術の結晶である風力発電にのめり込んでいったんです。高校時代の3年間は文科省の「未来の科学者養成プロジェクト」で大学から研究室や研究費を提供していただき、放課後はほぼ毎日大学に行って夜遅くまで風力発電の研究していました。
大学の進路を決める頃、当時お世話になっていた長崎大学からは「残ってほしい」とさんざん言われたんですが、当時興味のあった小型風力発電というものは九州大学が国内トップクラスの研究設備と研究をしていたので九州大学に行くことを決めました。合格が決まってすぐ、風力発電の分野で世界的権威のある大屋先生に合格通知書と自分の論文を握り締めて会いに行きました。「将来的には大屋先生の研究室に入りたいので学部時代にどういう基礎勉強をしていたらいいか教えてほしい」と相談したところ、大屋先生は学部一年の僕に研究スペースを提供くださいました。ただ、予算までは準備できないので、研究するための費用は自分で取ってこいということでした。そんな時にQRECでやっているC&Cに出会いました。当時、同じクラスの佐藤くんがC&Cのポスターを見かけて、これ良いんじゃないの?と言われ、ただ、言われたのが応募〆切の前日の夜7時だったので、それから必死になってメンバーをかき集め、なんとかギリギリで申請書を提出しました(笑)

実は、高校生時代から自分の風車の研究を進めるうえで絶対に必要な装置があったんです。それが、「風向変動風洞」というもので、風向きの変化を発生させる装置です。日本の風は世界で見ても一番多様で、四季でまったく異なる表情を見せ、また、1日の中でも風向きが大きく変化するという特徴があります。この多様な風に風車がどう対応するかというのは日本特有の重要な研究分野なんです。この研究を高校3年間で行ったんですが、結局わかったことは「その研究をするためには風向変動風洞という装置がないとまったく研究が進まない」ということでした。実はその当時、風向きの変化を再現する装置:風向変動風洞に関する先行研究はあったんですが、試験範囲が直径15センチメートル程度で極めて小さく、自分のほしい性能のものではありませんでした。これを従来の仕組みのまま風力発電の研究に使える直径1メートル程度までにサイズアップするには、装置自体が建物1個分くらいの大きさになり、費用も何億円も要してしまいます。そのため、この分野の研究を誰も手をつけてこなかったという現状がありました。

ローン・ジョシュアさん

そんな中、自分がアイデアベースで思いついた、これまでの物とはまったく違う方式の「風向変動風洞」の構想があったのですが、当時、僕についていた長崎大学の教授は「この方式は絶対にうまくいかない。費用も数億円はかかる」と諭されて、高校時代に作ることは叶いませんでした。でも、自分は小学生の時から、他人にできないと言われても実際自分でやってみないと納得しない性格だったので(笑)。QRECではこのアイディアにチャレンジさせてくれました。今振り返ると、大学生だからこそできた発想でした。素人が考えることは恐ろしいというか(笑)素人だからこそ、何も知らない人だからこそできる発想で、無我夢中で風洞実験装置を作り上げたことは自分にとって本当にかけがえのない時間だったと思います。

C&C審査員、坂本剛さんから声をかけていただき、会社設立へ

ローンさん:風力発電のプロジェクトは2年間で特許も出せて、研究も順調に進んで、あとは製品化するだけという段階までいけました。ただ、当時は研究者として大学院に残ることしか頭になかったので、適当にどこかの会社に自分の技術を譲渡して、自分は別の研究をやっていこうと考えていました。そんな時に声をかけてくださったのが、C&Cの審査員を務めていらっしゃるQBキャピタルの坂本剛代表でした。これまでの研究開発の経過を見ていて「大学内でできる研究ステージは終わっているから、次は商業化のステージ。投資をするから会社を作ってみないか」と言ってくださいました。そのお声がけに対して散々悩んだ挙句「大学はいつまでも待ってくれるけど、投資は待ってくれない」「会社を作るということにチャレンジして失敗してももう一回やり直せるというのは若いうちしかできない」と思うようになって、大学院への進学を後回しにして会社を作ってみようと決意しました。

もともと、坂本さんに声をかけられた時は風力発電の会社を作らないかと言われていて、風力事業が軌道に乗って落ち着くまではそれに注力して風洞の事業はしばらく置いておこうと言われていました。ただ、これまでの風力発電の130年近くの歴史を見てきて(風力発電の分野は国策に大きく影響を受けて)すごく大きな波があることがわかっていたので、その波に耐えられる長期安定性の高い事業をもう一つ持っておかないといけないといけないだろうと思って、坂本さんには自分のわがままで「風洞事業と風力事業の2つの事業を両立するので条件であれば会社を設立します。」とお伝えし、会社を立ち上げることになりました。 風洞事業の開発には時間もお金もすごくかかったんですけれども、実際、製品化してフタを開けてみると市場規模が結構大きくて、大学のときの技術を使って極めてコンパクトで安価な製品にできたので他社とも差別化でき、需要もすごく大きいということになりました。製品化した後も毎年小型化の開発に取り組んで、今の製品では街の自転車屋さんにも置ける程度の大きさにまで小型化に成功しました。C&Cの学生時代のものから比べると体積で1/8のサイズまで小さくなりました。

ローン・ジョシュアさん

昨年まではターゲットを自転車分野に絞っていたのですが、展示会などに出展していく中で自転車分野以外にもゲーム産業やドローン産業、自動車産業、アウトドア産業など、様々なところにニーズがあることがわかり、今年のモデルからそれらのニーズにも応えられるように風洞をユニット化してレゴブロックのように好きなサイズにできるように改良しました。ユニット化したことによって搬入もしやすくなったという副次的な効果もあり、今年のニューモデルは多くのお客様からお引き合いがあっていて、製造が間に合っておらず、お客様をお待たせしてしまっているという状況です。これまで3年間は研究開発に注力していたのですが、これからは製造の方にシフトして組織的に大きく変化するフェーズにいるなと実感しています。海外展開も見据えているので、4年目はかなり激動の年となりそうです。

C&Cプロジェクトは、絶対に一人ではできなかった

ローンさん:QRECで学んだことは仲間の大切さです。学部1年生の時にC&Cに応募するってなった時、とにかく採択されたかったので、1人だけだとプロジェクトの実現可能性を問われると思って、2プロ内の理系の学生を中心に声をかけて、申請時は「名前だけかしてくれればいいから。あとは自分だけでやるから」と考えていたけど、実際採択されてプロジェクトをスタートさせると、みんな結構ノリノリで色々手伝ってくれて、始めてみて「あ、これ絶対に一人ではできなかったな」と実感するようになって、チームでやるといかに物事が早く進むかがわかりました。実際、一人では手の届かない苦手な分野のところを仲間がカバーしてくれたりして、QREC1年目の時にハッとさせられました。現在、東京営業所所長・営業部部長を務めてくれている宝蔵 蓮也さんはその頃からの同期で、今も一緒に会社をやっています。

ローン・ジョシュアさん

「とにかくやってみる」「アンテナの数だけチャンスが増える」 九州大学の在学生に向けてのメッセージ

ローンさん:実際にやってみることに勝る勉強法はないです。お金と時間を使って実際にチャレンジしてみて、学びをさせてくれる機会を提供してくれるというQRECのプログラムは使わない手はないと思います。 C&Cのお陰で会社を立ち上げるところまでできた身としては、とにかく学生のみんなにもっとチャレンジしてほしいなと願っています。

宝蔵さん:学生時代にいろんな授業に顔を突っ込んだお陰で今は裏方の何でも屋さんみたいなことができています。 会社のパンフレットは自分で作ったんですけど、学生時代のサークルで謎解きゲームの制作をやっていたので、そういう時に培ったデザインスキルはこのパンフレット作成の時に活かされているし、経済学部で学んだ簿記の授業とかも活かされています。海外でのコンテストに出場したことも、今後の海外展開にも生かされてくると思っています。 アンテナを張っていろんなことにチャレンジしていたお陰で、いい感じにまとまって今の自分があるのかなと思います。それこそ、学部の壁とか学内外の壁とか取っ払って、興味があれば、とりあえずやってみればいいんじゃないかなと思います。

QREC卒業生 飯塚 統さん

飯塚統さん

メドメイン株式会社 代表取締役
九州大学医学部医学科 在学中(2021年3月現在)
飯塚 統さん

医学部医学科在学中の2018年1月に、Deep Learningを用いた病理AIの製品開発を行うスタートアップ「メドメイン株式会社」を創業しました。 創業時、九大の学生4人で始まった会社ですが、現在までに60名超の組織に成長しています。 累計5億円以上の資金調達を完了し、急成長しているスタートアップになっています。

大きな志と夢をもってチャレンジして欲しい

メドメイン株式会社の前進となる病理AI開発のプロジェクトがC&Cに採択され、50万円の助成金を頂き、事業化に向けて進めて行くことができました。C&Cを通して、特に一番最初の事業計画を作成したこと、また審査員の方にピッチを行なってフィードバックを頂いたことは貴重な経験になりました。

C&Cを通して最初の事業計画を考えたことが、今のスタートアップを創業する上で大きなきっかけになっています。また限られた時間の中で、何のどんな課題をどのようにして解決するのか、スタートアップのピッチに繋がる簡潔なプレゼン練習を審査員の方に何度もする機会があったことが、投資家へのピッチと資金調達に活きています。 起業を学び、支援してくれるQRECという場が九大にはあります。是非、ここをきっかけにして、大きな志と夢をもってチャレンジして欲しいです。

QREC卒業生 西村直人さん

西村直人さん

(株)糸島ジビエ研究所 代表捌師
西村 直人さん

QRECの存在

起業を決めてからビジコンに結構出ており、その中の最初の一つとしてQRECのC&Cへ参加をしました。同期にローン・ジョシュア(株式会社 日本風洞製作所 代表取締役社長)がいるのですが、彼らがずっとQRECと関わっていたのでその存在は知っていて、それで自分も受けてみようと思ったのがきっかけです。C&Cは書類審査を通過した10組程が5分間ピッチをし、そこで半分くらいに絞られて最終プレゼン…という感じでスピーディーに結果が決まりました。

全国トップレベルの技術を確立

名刺の肩書にある「捌師(はちし)」は個人的に名乗っているものですが、僕自身は食品衛生責任者と、食肉販売技術管理士という牛・豚肉を扱う人の資格を持っています。ジビエ業界では唯一の保持者だと思います。(制度面では、食肉を販売するには作業場の構造や食品衛生責任者の設置などの規定を満たして、保健所に食肉処理業、食肉販売業の許可を受ける必要があります。) 肉を加工する技術は、最初は九大の中で地元の猟師や先生に教わりましたが、現在は畜肉の技術を、ジビエにあわせて独自に進化させた手法を用いています。食肉科学をベースに仮説を立てて実証し、ジビエに合わせて修正していくということを繰り返して、全国トップレベルの技術を構築してきました。 大学で食肉科学や食品衛生の授業をとっていた経験が、肉の科学的特性の理解や熟成、ソーセージの加工で特に生きています。

自分に嘘のない生き方

今の事業内容(ジビエ関係、精肉販売、ソーセージなどの加工、木工作品、野菜・キノコの生産)は「Woodcraft」という言葉に集約されるかなと思っています。「Woodcraft」という単語は、日本語では‘木工作品’のイメージが強いですが、第一義では森で生きる術・知識という意味で狩猟などもふくまれるそうです。「He is an wood crafter」と言われたら「森で生きることができる人」というように。この会社はwoodcraft:森に生きる術 を以って現代社会における自然の接点の部分という役割を担っていきたいと思っています。

西村直人さん

僕が仕事でも個人としても1つの指針にしてるのが「自然体である」ということです。「然り」という「あるべき姿」というか…無駄な力が抜けた状態に向かっていきたいと思っています。仕事中でも自分の生き様として誇れることをしていたいし、生活や遊びが仕事に繋がることも多々あります。時流に逆らうようですが、いい意味でそれらが境界なく繋がっていて、仕事であっても極力自分に嘘の無い、豊かな生き方だと思ってます。

糸島という土地

地域選定については、糸島に環境が揃っていたことがとても大きいです。 繋がりが無い状態から、起業したり特に狩猟の世界に入っていくことは難しいのですが、学生時代からお世話になっていた沢山の方が支援してくださいました。 今でも信じられないほど沢山の方に支えて頂いており感謝しかないです。 始めてから改めて実感したことですが、実際糸島はお客さんの料理人としっかり関わりたい自分の営業スタイルにも合っています。 福岡市という、九州の中で一番大きな商圏が配達圏内ですし、糸島市自体もブランド力を持っています。市の広報方が食材関係にとても力を入れて下さっていることもあり、関東圏の有名店や料理人とのお付き合いも広がりました。 海があり山があり川も田畑も牧場もある糸島は、多様な食材に恵まれていて加工品開発やケータリングでも引き出しが多いですし、木工や茸も糸島の自然があってこそできることです。フレンチにはテロワールTerroirというその土地の風土を大切にする概念がありますが、今糸島で手掛けているお肉、野菜、茸、食器、、が全て、ひとつの食卓に集約されていくことは、そういった側面からも取り組んでいてとても楽しいものですし、お客さんからも支持して頂けています。

糸島ジビエ研究所

人としての自然体の一つ

学生時代のことをお話しすると、大学2年次春に学部ゼミの中で「動物目線で、糸島の自然を食べ物として見る」というワークショップしたりしていました。それで猪対策に携わっており学部の担当でもあった安田先生(安田章人 基幹教育院准教授)に猪捕れたけど来てみるかと誘っていただいたのがきっかけです。せっかくこんな贅沢な勉強ができる環境があるのだからと言うことで、先生と狩猟研究会を立ち上げ初代部長として活動していました。「狩り部」の通称が有名になっていますが、以上の様な背景で活動しているので、いわゆるハンティングサークルではありません。 小中学校の時から自然の中で遊んだり、農林業畜産業にも一通り触れて育ちました。 アイヌやマタギにも興味を持ち、機会があれば自然といきる術としての狩猟にも触れ、学んでみたいとはずっと思っていました。そういう下地があったところに大学できっかけをもらった、という感じです。 部活はオーケストラに入っていて、九大フィルでステージマネージャーをやっていた経験から、大学3年の夏はボストンチェンバーオーケストラ九州ツアーのディレクターをしていました。普通だったら大学生に任せていいような規模の仕事ではなかったのですが、そこでの経験や人脈も起業の素地になりました。 狩猟研究会と音楽の活動、真逆のようですが自分の中ではそんなに離れてはいません。 もともと音楽も人間の中から湧いてくるもの、狩猟と同じように古くから生活と共にあった文化ですし、人としての自然体の一つ、自分が「今生きているな」と感じる瞬間の一つでした。今後、仕事の中で食と音楽が共存する空間づくりもしていけたらなと思っています。

学生時代の起業

起業は大学4年の4月5日に決めたのですが、それまでは就活をしていて内定を頂いていました。就活時は、音楽関係の仕事か、食品関係の仕事に就いて将来的にジビエに関わりたいと思っていました。しかし、実際に狩猟の世界に入っていくことを考えたときに、当時の自分ほど恵まれた立場にいる人はいないんじゃないかと気づき、内定先に相談して起業することにしました。 狩猟に限ったことではありませんが、学生の内は自由に使える時間が多くある上、会社員として行くよりも警戒されず、利害抜きに親身に相談に乗って頂けたりと恵まれていました。 自分がずっと興味を持っていたことでもあるし仕事自体がすごく奥深いので、こういう選択をしてきて良かったなと思います。大学入学時は想像さえしていなかったですが、今となってはこの選択は必然的だったかなと実感しています。

糸島ジビエ研究所

QRECで最初のトレーニングを

QRECの一番大きいメリットは、どうなるかわからないものに対して学生が自由に補助金を使えるところです。どこかに見学に行くための旅費や試行の原資があるというのは本当に重要です。真面目に起業を考えてる人にとってはこういう制度が大学内にあるのは大きいのではないでしょうか。 それとC&Cなどへ応募する際のエントリーシートは起業準備をする上で凄く価値があります。エントリーシートを書く時点で、どこか埋めにくい項目が出てくることで、自分自身で考えられていなかったところが炙り出されます。起業したら実際に自分でそれをやらないといけないので、内省の訓練と、自分の良いと思うものを社会(C&Cでは審査員の方々)に問うてみること、QRECはその最初のトレーニングというか、これは本当に意味があると思います。

将来の自分の姿を描いて

僕個人としては起業を目標にしなくていい、しないほうがいいと思っています。僕自身、起業家になりたかったのではなく、したいことをする上で必要だと判断して株式会社の形を取りました。 当然ながら起業してからが本当の始まりで。何が目的で、何をして生きていたいのかが、やっぱり大事なところです。楽しいことも苦しいことある起業後の日々において、「この道を進みたいんだ」という想いが自分の根底にあることは大きな支えになります。

一方で、QRECに来る人たちはそれが一歩目だったりするので、C&Cなどのコンテストはゲーム感覚で受けたらいいと思います。入門編すっとばしていきなりプロになる人はいませんし。起業しないにしても、企画立案・プレゼン・プロジェクト実行の中で得られるものは山ほどあります。

ビジコンでも実際の仕事でも、プレゼン時点で実績が無くても、期待できると判断してもらえて、納期までに期待以上の成果を上げられれば、良い。誤解を恐れず言えばある種のハッタリ力、真面目に言い換えれば、自分の現時点の力量と成長力を理解して、そのプロジェクトを通じた成長の期待値を加味した上で成し得る成果を示し、ワクワクと未来に対する責任と説得力を感じさせるプレゼン力、その練習の最上の機会だと思います。 よく聞く話ですが、学生起業はリスクが少ないですし。必ずしも起業しなくても、準備には奔走してみるといいと思います。動いてみないうちからは真のリスクもメリットもわからないですし、事業化するかどうかは準備した先で判断できることです。 それだけでも為になりますし、準備をした上で一度就職して社会経験を積んで、その後起業してもいいですしね。 一生懸命取り組んだ経験は必ず財産になります。

西村直人さん